新型コロナと目黒区議会

紹介・解説

目黒区議会BCPの面目躍如

新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威が続いています。目黒区行政も対応に追われているところですが、目黒区議会では、2019年2月に策定したBCP(業務継続計画)が非常に有効に機能していますので、その取り組みをご紹介します。

区議会から行政に提出した要望はこちら

23区で唯一の議会BCP

災害時の議会の役割については、私の過去のレポートでも取り上げたことがありますが、その後の2019年2月に、23区では初となる議会BCPが策定されました。
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kugikai/bcp.html

議員の安否確認や行動フロー、「災害等対策会議」を通じての情報収集や伝達など、他地域の議会と似たような、言ってしまえば一般的な議会BCPですが、2020年4月時点でもなお、23区では目黒区議会のみがBCPを策定している状況です。

新型コロナでBCP発動

そして、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、区が危機管理対策本部を設けたことに合わせて、区議会も2020年1月31日、計画策定から初となる災害等対策会議(災対会議)を設置しました。

災害等対策会議

今回の危機は感染症ですから、地震や風水害などの災害とは状況が異なります。

行政にとっては、保健所や産業支援といった関連の施策を強化する必要がある一方で、不急の事業は大幅に縮小し、職員の勤務を抑制しなければなりません。

こうした中で、感染拡大を防止し、区民や事業者に効果的な支援を届け、かつ生活への影響を最小限にとどめるために、住民を代表する議会の意見を伝達することは、重要な役割となります。

ただし、議員が個々に担当部署と連絡を取り合っていたのでは、かえって行政の足を引っ張ることになりかねません。そこで、役所からの報告を受けるとともに、議会からの情報や要望を届ける唯一の窓口となるのが「災対会議(災害等対策会議)」です。

メンバーは正副議長、議運の正副委員長、各会派幹事長、関連委員長の計10名となっており、4月18日の時点で25回の会議を開催しています。

災対会議の本領発揮

今回の新型コロナ対応では、この災対会議がピタリとハマり、相当良い仕事をしています。

この経験したことのない緊急事態において、予め定められた計画に基づいて、議会が行政を混乱させることなく、統率の取れた会議体として機能していることは驚異的であり、手前味噌ながら、後世に残る好事例だと思っています。

災対会議から行政に提出した要望は文末に記しますが、区内事業者の支援や認証保育園の保育料助成、指定喫煙所の休止など、実際に対応がなされた項目が幾つもあります。

個々の議員からではなく、議会全体としての意見であるという点が、要望に重みを持たせていると見ることもできるでしょう。

課題

一方で、これまでに幾つかの課題も出てきました。

まずは会議の手法。感染症対策で外出を可能な限り控えるべきであるところ、これまで多数の会議が実施されています。もちろん、不要不急では全くないのですが、議題によってはオンライン会議を採用するといった方法も、今後の課題として考えられます。

次に、無会派議員への対応。会派制を用いている目黒区議会として頭の痛いところではありますが、現在は6名いる無会派議員にどう災対会議の情報を伝え、要望を取り入れるかといったことも、課題として残されています。

まとめ

災害や非常事態は起こらない方が良いに決まっていますが、万が一の場合に備えて計画を定めておくことの重要性を、今あらためて思い知らされています。

さらに、議会が総体として行政と関わっていくことの意義が現実に明らかとなった経験を踏まえて、今後の議会の機能や役割の向上に繋いでいければ、なお良しと言えるでしょう。

区議会の新型コロナウイルス対応

・区議会BCPに基づき、災害等対策会議(災対会議)を随時、開催する。

・収束が見られるまで間、視察や行事などは原則、中止または延期とする。不特定多数の参加が見込まれる会合への参加は見合わせる。

・感染症対策を実施したうえで、必要最小限の人数で会議を行う。その際は、執行機関が感染症対策を最優先で進められるよう、進行は柔軟に対応する。

災対会議から行政に提出した要望

(8/27)
62.感染リスクが高い行動をとる若年層などに厚生労働省が開発した新型コロナウイルス接触確認アプリの導入を推奨するなど、感染抑制に向けた、より有効な情報発信に務めること。

61.高齢者や障害者は新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高いため、入所施設では同ウイルスの施設内侵入に対し様々な対策を講じているが、感染拡大の更なる防止策として、新規入所者に対してPCR検査を実施すること。

(8/6)
60.今後のPCR検査センターの運営にあたっては、場所の選定や安全な検査体制等について医師会と十分に連携を図ること。
また、区内の医療従事者、高齢者・障害者施設従事者、子育て支援施設従事者、幼稚園・小中学校従事者などが必要に応じてPCR検査を受けることができるよう目黒区独自の仕組みをつくるとともに、その際の財源を国及び東京都に要望すること。

59.都内において感染者が急増していることや、職員にも感染症に罹患する者が発生したことを踏まえ、これまで以上に執務室内等での感染症拡大防止対策を強化していくことが急務である。
総合庁舎等におけるクラスター発生抑止に向け、執務室内等の感染防止環境の整備及び委託業務等を含めた庁舎内従業者への更なる注意喚起等について早急に徹底を図られたい。

(7/27)
58.区ホームページに掲載している区内感染者に係る情報について、品川区の事例を参考にしながら業務に支障のない範囲で、男女比・年齢・推移など内訳をわかりやすく掲載すること。その際、東京都との数値に差が生じた場合には、注意書きをするなど丁寧な説明を行うこと。

(7/17)
57.区民利用のある施設において、職員あるいは利用者に感染者が発生した場合の目黒区としての指示命令系統、情報公表に係る考え方及びPCR検査等感染拡大抑止の対応方針を明確にし、議会を含め庁内で情報共有することを求める。

具体的には、発生時の指示命令系統及び連携の流れ、施設名称・所在の公表基準、PCR検査の実施範囲及び検査対象の考え方並びに濃厚接触者の判断基準及び対象者への指示基準を明らかにすること。

(5/25)
56.区立学校における在宅での双方向オンライン学習について、ハード面や指導上
の課題を整理し、他区の先行事例を参考にしながら早期導入に向けた検討を進め
ること。

55.緊急事態宣言解除後、集会施設の貸し出しなど事業の段階的な再開を検討する
こと。

54.緊急事態宣言が解除された後においても、保護者の就労環境や不安に配慮し、
育児休業からの復職期限を一定期間延長すること。

53.新型コロナウイルス感染症対策の影響により未執行予定の施策等に係る予算
について、減額補正を速やかに実施し、今後必要となる施策への有効活用を図る
こと。

(5/18)
52.新型コロナウイルス感染症対策に関しては、日々厳しさの増す区民生活の状況を考えると、本区の施策全体を俯瞰し必要に応じてスピーディーに軌道修正を行う必要や、本区独自の対策を講じていく決断力・発想力の発揮が不可欠である。この点を踏まえ、区長のリーダーシップをもって新型コロナウイルス感染症対策本部の全体的な統轄機能強化を図り、より適切な施策展開を実現すること。

51.臨時休校や休園が長期化し、子どもの居場所不足が深刻化している状況の中、感染防止に配慮した上で連絡日等を活用した校庭の一部開放などを検討すること。また、公園遊具についても、感染防止に配慮しながら、早期に閉鎖を解除すること。

50.区内でPCR検査を実施していることや検査の流れについて分かりやすい周知に努めるとともに、PCR検査結果を最低でも週1回公表するなど区民への情報発信を確実に行うこと。

49.新型コロナウイルス感染症の収束が見られない状況の中で複合災害が発生した場合の対策として、避難行動や避難所運営に係る指針を策定すること。

(5/7)
48.給付のスケジュールについて、早期の告知を行うこと。

47.特別定額給付金については、準備体制を迅速に整えることで他自治体に遅れることなく角赤に申請手続きの開始を行うとともに、一日も早い給付の実現につなげること。

(5/1)
46.区立特別養護老人ホーム東山の職員及び利用者を対象としたPCR検査を大至急実施するとともに、感染をブロックできるマスクや防護服など医療機器を早急に確保すること。

45.新型コロナウイルス対策緊急融資の受付期間について、状況を見据えての迅速な延長対応を図ること。

44.新型コロナウイルス感染症に関して区民から寄付(金品・物品等)があった際には寄付者の意向を十分に汲み取った仕組みをつくること。

(4/24)
43.コロナ対策に伴う各種助成金の申請に関して、区内士業の活用と活用時の助成金制度を創設すること。

42.緊急事態宣言が延長された場合の保育施設入所に伴う育児休業の復職時期延長については、速やかな反映と告知を行うこと。

(4/20)
41.新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算を速やかに編成すること。

40.生活保護の認定に当たっては、申請者の個別事情を十分に考慮の上柔軟に対応すること。

39.認可外保育所利用者の登園自粛に伴う負担を軽減すること。その際の対象者は、認可保育所に入所できなかった保護者に限定する方向で検討すること。

38.休業期間が延期する可能性を見据え、インターネットを活用した自宅学習用教材の提供を早急に進めること。その際、インターネットへの接続ができない家庭に機器の貸し出しを行うこと。

4/7)
37.区民及び投開票事務従事者への感染拡大を防止するため、目黒区長選挙の実施については、東京都選挙管理委員会と十分な連携を図って対応すること。併せて、投開票事務従事者数の縮小や消毒の徹底、レイアウトの工夫など感染症対策を十分に講じること。

36.保健所へ即戦力となる人的配置を行うなど、更なる支援を図ること。

35.区立小・中学校の臨時休業期間の延長に伴い、状況に応じた年間カリキュラムの再構築を検討するとともに、在宅期間中の家庭での学習支援策(映像学習など)を進めること。

34.庁舎出入口に体温を感知する機器を設置するなど、来庁者の健康状況を確認できるようにすること。

33.医療機関の受診について分かりやすい案内を行い、受診が必要な区民とそうでない区民の交通整理を行うこと。また、目黒区医師会と連携して医療崩壊を防ぐ方策を講じること。

32.駅周辺にある区指定喫煙所を一時的に閉鎖すること。

31.個人事業者を含む中小事業者への支援策として、出前やテイクアウトが可能な店舗情報のホームページへの掲載を区商連等へ働きかけるなど、様々な支援策を工夫・強化すること。

30.認証保育所等の休園等に伴う利用者負担額の免除の導入を早急に行うこと。

29.区民に周知する情報については、予め公開日時を決めておくとともに、公開前に区議会に情報提供を行うこと。ツイッターや区ホームページを活用し、利用者にとって検索しやすいものとすること。

28. 感染症患者数の数値の公表については、推移の状況が分かる資料を加え、区ホームページトップに掲載すること。

(4/1)
27.目黒区長選挙に係る投開票事務を行うに当たっては、マスクの着用やアルコール消毒液の設置はもとより、レイアウトの工夫を行うなど、区民及び選挙事務従事者への感染症対策を十分に講じること。

(3/26)
26.臨時的な空気清浄機の設置など、総合庁舎1階の待合スペースにおける環境整備に努めること。

25.新型コロナウイルス感染者対策に係る区報(臨時号)を発行し、感染予防への更なる周知に努めること。

24.目黒川周辺を新型コロナウイルス感染症のクラスター発生源にしないよう、東京都にも働きかけて至急「人混み」の発生を解消する対策を講じること。区においては屋台出店者に直接自粛等を要請するとともに、防災行政無線や生活安全パトロールなどにより花見客に外出自粛を働きかけること。

(3/18)
23.区内中小企業向け緊急融資制度に係る相談が迅速かつ円滑に受けられるよう、土日の開設及び職員を増員するなど、窓口体制の充実を図ること。

22.妊娠中の保育士・学童クラブ職員などに対して健康面への配慮を十分に行うとともに、無理なく職務に従事できるような人員体制等を確保すること。

(3/12)
21.保育園入所に伴う育児休業の復帰時期に特例措置を講じること。

20.住区会議室及び文化ホールなど集会施設全ての貸し出しを中止すること。

19.休校中の対応として、児童・生徒たちと個別面談の機会を設けるなど、不安解消に向けた十分なコミュニケーションを確保する対策を講じるとともに、自ら考え、楽しく学べるような学習プログラム等の提供を検討すること。

18.区内での感染者発生に係る具体的な情報が区民から議員に寄せられている。区内において感染者が発生した場合、情報の公表を速やかに行うこと。

(3/5)
17.区内中小企業向け緊急融資制度を創設すること。

16.今後の緊急事態に備えるため、情報の整理・財産化を図ること。

15.児童・生徒の受け入れに支障がないよう必要な人的配置を行うこと。

14.区内で感染者が発生した情報を入手した場合には、情報を公表すること。

(3/4)
13.職員の時差出勤を積極的に実施すること。

12.休校に伴う児童・生徒に対する健康管理(メンタル対応を含む)、非行防止、犯罪に合わないよう対策を講じること。

11.休校に伴う授業時数の確保策を講じること。

10.共働き・ひとり親世帯等に配慮し、学校での一部受け入れなどの対応策を検討すること。

9.土・日・祝日における相談対応の充実強化を図ること。

8.防犯パトロール車や防災行政無線の活用も含め、区民に対する予防周知を確実に行うこと。

7.高齢者施設における感染症発生時の対応準備を行うこと。

6.受験生へのサポート体制を確保すること。

5.特別に支援を要する児童・生徒の家族に感染者が発生した場合などにおいて、個別事情に配慮した対応を講じること。

4.区施設および区内業者等に対し、マスク・消毒液の適切な配備を行うこと。

(2/28)
3.特別に支援を要する児童・生徒への対応策を講じること。

2.区内小・中学校休校の間の児童・生徒について、感染症リスクを配慮しつつ居場所の確保をすること。

1.区内小・中学校休校の開始時期については、必要な準備期間を確保すること。