西崎つばさレポート6号(大規模災害と議会)

レポートWeb版

大規模災害発生!?その時、議員は?

熊本を中心とした地震で被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。同時に、あらためて日頃の備えを見直さなければならないと痛感させられます。

さて皆様は、大規模災害への対策について、議員に何を期待しますか?むしろ、何も期待しないですか?今回は、二つの事例から考えます。

災害時に行政は?議会は?

万が一の発災時、人々が行政を頼みにする場面は非常に多く出てくると思われます。まずは消防・警察・自衛隊による救助活動。次に避難所への救援物資。その後の罹災証明書の発行、生活再建の支援。これらはごく一部で、行政はその他にも様々な役割を担っています。

もちろん、大規模災害時に平常通り機能するはずがありませんし、通常業務だけで済む訳もありません。そこで、目黒区はBCP(業務継続計画)において、非常時優先業務を選定し、時間軸で分類して、行うべき事務事業を明確に定めています。

では、議会はどうでしょうか。目黒区議会には、災害時に特化した行動指針は無く、議会の内部ルールに記載があります。ただ、そこには、A4用紙の2/3ページに
・議員の安否確認をすること。
・災害対策会議を設置し、対策本部(行政)と協力して対策を推進すること。
程度しか書かれていません。このままでは、行政の報告を聞くだけで、ほぼ何もできずに終わってしまうでしょう。

議会BCP

一方、議会が独自のBCPを策定している所もあります。滋賀県大津市議会では、災害時の議員の基本的行動を初動期(0~72時間後)、中期(3日~7日後)、後期(7日後~1ヶ月程度)に区分し、役割を定めています。

初動期には、議員も地域の一員として、救助・救援活動や避難所運営に協力する事が求められています。中期では、地域での活動を通じて得た情報を対策会議で共有し、同会議の指示を踏まえて行動する事とされています。そして後期には、議会機能を早期に復旧させ、本会議や委員会を通じて復旧・復興予算などを審議することが計画されています。

このように、災害時の行動がより具体的に規定されていることが分かりますし、専決処分に依らず、決定機関としての役割を果たそうという矜持も感じられます。

議会が自助・共助を進める

話は変わりますが、災害時に公助が必ず届くとは限りません。そこで重要なのが自助・共助ですが、公助を担う行政が、住民に堂々と「自分たちで何とかしてね」とは言いづらいものです。ここを突破したのが横浜市会です。

同議会は、議員提案で「災害時自助共助推進条例」を制定し、市民には物資の備蓄や耐震改修、家具の転倒防止や防災知識の習得などを求め、事業者には発災時の従業員の留め置きや事業活動の継続などを求めています。

条文のどこにも「公助」の文字は無く、行政提案では有り得ない内容です。しかし、議会が条例を制定すれば、それは行政を縛るものとなり、施策に影響を及ぼします。現実に自助・共助が必要とされている以上、議会ならではの役割を果たしたと言えるのではないでしょうか。

目黒区議会はどうすべきか

今回の震災を受け、二つの先進的な取り組みを調査しましたが、議会にも、災害対策への独自の役割がある気がしませんか?今後、目黒区議会としてどう備えていくのか、さらなる議論が必要だと思います。皆様のご意見もお寄せ下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。