タブレット導入事例を学ぶ(議運視察)

研修・視察

2019.10.3 下関市議会視察

議会運営委員会の視察で、山口県下関市に来ています。委員会の性質柄、全てが議会改革や運営に関する視察となります。

特に23区は議会改革が全国でも大きく遅れており、その中ですら目黒区議会の改革度ランキングは13位。特別区では1位の墨田区議会でも全国200位ですから、全体で見たら目黒区議会はいかほどか。(300位以下の順位は非公表となっています。)

なお、下関市議会は中核市で8位、全国で128位となっています。

下関市について

人口は約26万で、一般会計の財政規模は1145億円。目黒区とかなり近い規模ですが、人口は毎年2700名ほど減少していることや、高齢化率が35%であるなど、人口減少と高齢化が大きな課題となっています。

海峡と歴史の街とされており、有名なフグや、IWC脱退で波紋を呼んだクジラなどの水産資源や、壇ノ浦の古戦場や巌流島、高杉晋作といった観光資源も有しています。

市の鳥がペンギン!親近感がわきます。

下関市議会の取り組み

下関市議会では、2012年に議会基本条例と議員政治倫理条例を定め、議会改革を大きく前進させています。2014年には新庁舎の供用開始に伴い、車いす傍聴スペースや、親子傍聴ルームなどを整備しました。昨年2018年からはタブレット端末の活用も開始され、質問時の資料としても使われています。

一問一答制

市長の所信表明に対する代表質問、予算案に対する個人質問、いわゆる一般質問においては、一問一答制が採用されています。メリットとしては、質問に対する回答が明瞭になること、答弁漏れを防げること、議論が深まることが挙げられていました。一方、脱線する可能性があることや細かい点に入りすぎる点がデメリットとされています。

一問一答制は2000年から導入し、定着しており、現在でも見直しの予定などはないとのことでした。

なお、反問権も論点整理のためには認めており、実施例もありますが、もともとの規定で想定している使い方で行使されたことは、これまでにないそうです。

タブレット端末などの活用

2012年に情報端末の持ち込みが議論となり、先進事例の調査などを経て、昨年2017年から使用開始となりました。

公費での支給ではなく、それぞれが購入するスタイル(政務活動費の使用可)で、アイパッドを推奨していますが、機種やモデルは限定していません。なお、ノートPCなども可となっていますが、使用しているのは34名中2名とのことで、少し意外です。

初めはDropboxなど無料で使えるサービスを利用していましたが、正式な予算計上をした後は、会議システムも含めてサイドブックスに一本化されています。

執行部側も、今年になってからタブレット端末の活用を開始していますが、端末もサーバーも別とのことで、課題となっています。

現時点で、紙代の大幅な減少は見られないが、職員の手間が大幅に節約できる場面が増えたとのことで、今後の行方にも注目です。

議会報告会

議会基本条例に規定されており、下関市議会では「市民と議会のつどい」と呼ばれています。

全議員が参加し、市内の12地区を順に回って、年に3~4回ペース、4年の任期で1周するようなペースで実施していましたが、女性や若者の参加が課題となっており、地元の高校で実施する例もありました。

今年度2019年度からは、市の地区ごとではなく、常任委員会ごとに関係団体との意見交換会を実施する方式に切り換えて行われています。

まとめ

目黒区議会でも、タブレット端末導入の検討が開始されています。私はどちらかというとノートPC派なのですが、何らかの端末の利用を認めることは絶対的に必要だと思っています。

ところが、いざ具体的に進めようとすると、思わぬ細かな課題(Wi-Fi接続権限の付与など)が出てくるものであり、ちょうど最近導入を開始した下関市議会の経験は、非常に参考になりました。

目黒区議会でも、スピード感をもって進めたいところです。