うどん部

研修・視察

2020.2.13 関東若手市議会議員の会 研修

少し久しぶりとなりましたが、関東若手市議会議員の会の山梨研修に参加。非常に珍しい取り組みである、県立高校の「うどん部」について学んできました。

山梨県立ひばりヶ丘高校うどん部

ひばりヶ丘高校は定時制の単独校で、定員90名に対し、現在の生徒数は80名程度となっています。かつては商業高校だったとのこと。

吉田うどん

この地域の名物である「吉田うどん」は、のどごしとは無縁の極太麺で、独自の「すりだね」を加えて頂くご当地グルメですが、お店の事業者の高齢化や、承継が課題となっており、店がどんどん潰れている状態です。

そこで、この吉田うどんをPRしようと立ち上がって活動しているのが、ひばりヶ丘高校のうどん部です。

経緯

もともとは、授業の一環としての課題研究でホームページの作成などをしていましたが、HTMLやCSSの勉強だけで終わってしまうのではなく、実社会に活かすために、実際の店舗のホームページを作るようになり、そこからさらに活動レベルを上げるために、強い思いを持った少数精鋭の部活動に転換されました。

活動

全国的に注目されている「うどん部」ですが、実は人数が多いわけではなく、この春に卒業予定の1名を含む、計4名で構成されています。

毎年度テーマを設定して活動し、経営する店舗の収益やスポンサーの獲得など、自走できる体制になっているのが特徴的と言えます。

メインは店舗経営で、毎週日曜日のみの営業ですが、きちんと利益が上がっています。現在は仕入れも売上もスーパーマーケットの内部で計上されていますが、より実践的な勉強のために、会社化する動きもあるそうです。

また、吉田うどんの情報発信では、生徒たちが実際に取材し、自らフリーペーパーを作成して配布したり、サイトやSNSで発信したりしています。また、店舗での「子ども店長」制度を導入し、子どもやその親への普及啓発も試みられています。

商品開発も行っており、これまでに麺2種類、だし、すりだねの4商品を開発して販売しています。うどん部では長期的な販売に力を入れており、開発の乱発を避けています。

さらに、うどん店の後継者育成の観点から、レシピの伝授や試作品の店舗での提供に取り組んでおり、現在1人の方が開店に向けた準備中とのことです。

こうした取り組みが評価され、地域再生大賞やうどんエキスポの特別賞など、全国で数々のアワードを受賞するほか、企業との提携も進んでおり、高校生の取り組みとしては異例の次元にあると言えます。

ポイント

最大のポイントは、継続にあります。高校生の単発的な取り組みではなく、長期的に地域と関わりながら活動して信頼を得ることが、自身の活動の進化にも繋がっています。

また、実社会との隔たりを取り払うために、高校生ではなく一般社会と並べられても耐えうる活動を心がけている点、そのために生徒たち自身で考えなければならない状況をつくる教育的な点も特徴的です。

課題

大きな課題として挙げられるのが部員の減少で、多忙を敬遠するゆえ、そもそも部活動に取り組む生徒が減っているとのことです。また、活動当初から1人の先生が指導にあたっており、その後継者が育っていないことも課題の一つです。

さらに、生徒たちの取り組みによって利益が出ていることに対する、教育界的な物議も指摘されます。現在は可能な限り支出を増やしてトータルゼロに調整しているとのことですが、これは本質的な議論と言えます。

一方で、新たな事業開始の検討や会社化、CSRの導入に伴う子ども食堂の取り組みなど、さらなる発展が模索されています。

所感

研修では実際に高校生の話も聞き、うどんまで頂いてきましたが、本格的な仕上がりで驚きました。

高校生に限りませんが、教育の場と実社会に隔たりがあるのだとしたら、そこは解決すべきポイントなのであろうと思います。研修でも改定学習指導要領が話題に上がりましたが、アイボリータワーではなく、生きる力を育むのが、特に現代における教育の要所なのでしょう。