動物愛護&手話言語(視察3日目)

研修・視察

2019.10.18 高松市 視察

しっぽの森(さぬき動物愛護センター)

香川県は、犬猫の収容数が全国に比べても多く、伴って殺処分数も多くなっています。特に犬の殺処分率については、2011年に全国ワースト1位となってから、現在まで続いている状況です。

背景には、無責任な餌やりといったマナー違反に加え、温暖な気候であるゆえに野犬が生き延びやすいこと、中心部と山里の距離が近いことなどがあります。

このことから、2013年に香川県と高松市が共同で犬猫の殺処分問題についての対策協議会を設置し、翌年14年には動物愛護センターを設置・運営することが合意され、2019年3月に開所しています。

センターについて

同センターは、殺処分数や殺処分率の低減、動物愛護管理の普及啓発を目的としており、2700平方メートルあまりの敷地に、多目的ホールや情報コーナー、検査室、手術室、ふれあい広場やドッグランなどを備えた施設となっています。

原則として、保健所に持ち込まれた動物を譲渡に結びつけるまでの飼養を行うことになっており、最大で犬60頭、猫30匹の飼養が可能となっています。

スタッフは正規職員8名(獣医師6名、事務2名)、嘱託職員11名(ケアスタッフ10名、事務補助1名)の19名体制となっており、動物の世話もあることから、365日をシフト制の交代勤務で回しています。年間の運営管理費は4000万円で、職員配置も含めて香川県と高松市で半々を負担しています。

運営方針

動物愛護管理に関する普及啓発

動物愛護に関する普及啓発の拠点と位置づけられており、設置されて初めてとなる動物愛護週間には、フェスティバルを開催し、診療模擬体験や健康相談などが行われました。また、夏休み親子教室や学校への出張型教室、校外学習、職業体験の受け入れなど、子どもたちへの教育という観点からの事業も積極的に行われています。

犬や猫の譲渡の推進

犬猫の譲渡会は週2回の高頻度で行われており、譲渡会前の講習会も実施されています。県内の譲渡ボランティアさんとも連携して新しい飼い主を見つける努力をしており、譲渡数はセンター完成前に比べて1.5倍に伸びています。

なお、5ヶ月齢を過ぎたオス(外見から判断しやすいため)は去勢手術を施すとともに、譲渡が決定した犬猫には全てにマイクロチップを埋め込み、所有明示を徹底しています。

災害時の動物対策の推進

近年の度重なる災害も念頭に、発災時の動物関連の資材の備蓄も行われています。具体的にはケージや食器、フードなどが配置されていますが、水はこれからとのこと。

人と動物に共通する感染症対策の推進

特に狂犬病などの検査については、施設内の検査室で実施できる体制となっています。本来は、遺伝子レベルで検査できる最新の機械なども配備されているのですが、まだ現在は日常の収容と譲渡がメインとなっており、活用に至っていないとのことで、今後の課題となっています。

関係機関との連携

動物愛護行政に関連する団体との連携も図られており、手術室での執刀は基本的に獣医師会の協力を得ており、職員はサポートに回っています。

また、譲渡ボランティアの方々に対しては、診療費の補助や不妊去勢手術費の補助などを行うほか、日常の譲渡活動でも双方向の協力を行っています。

まとめ

さぬき動物愛護センターは、3月に開所してから現在までの運用で、想定していたよりも扱う動物の数が多く、殺処分数も率も、譲渡の増加だけで対応していくのは困難であるとしています。やはり、大元を断ち切らなければ、いつまでたってもイタチごっこであり、終生飼養などの啓発が非常に重要なのは間違いありません。

香川県や高松市では、主に問題となっているのが犬、東京都や目黒区では猫といった違いはありますが、動物愛護政策を進めていくうえでの根本的な考え方は全く同じだと思います。

目黒での地域猫活動も、まだ理解や支援が不足しており、昨年度は手術助成の執行率が大きく下がってしまった経緯もありますが、なんとか支えていく仕組みを考えていきたいと思います。

手話言語・障害コミュニケーション条例

近年、手話言語条例を制定する自治体が増えており、直近では300件近くにまでのぼっていますが、高松市でも本年2019年に同趣旨の条例が制定されました。

経緯

高松市では以前から、障害者関連団体から条例制定の要望があったそうですが、2017年に同市が手話言語市区町会に入会し、同年12月に共生社会ホストタウンに登録したことをきっかけに話が進み、条例の制定に至りました。

具体的な施策

本条例は理念条例として定められ、具体的な政策は別で進められる作りとなっています。

以前から、障害福祉課の窓口に常時2名の手話通訳者を配置することや、手話通訳や要約筆記者の派遣、研修などが行われてきました。

こうしたものに加え、条例を機に新規事業として開始されたのが、ハードルの高い手話奉仕者から通訳者へのステップアップを支える育成研修や、点字メニューや折りたたみ式スロープの整備といった合理的配慮の提供を支援する助成事業(3/4補助で、これまでに4件)などです。

また、「音声リアル文字化アプリ」を搭載したタブレットを窓口へ配置し、聴覚障害者のコミュニケーションツールとして活用していますが、これは高齢者への対応や外国人への対応、会議の議事録作成などにも活用されています。

さらに、「障がい福祉スペシャルサポーター(SSS)」を創設し、地域の有名人で障害をお持ちの当事者でもある方に就任していただき、イベントへの出演やSNS等でのPRを行っています。

課題

条例を定めて具体的な施策も進んでいるところ、今後はどこまで多角的に事業を展開できるかという点が課題となります。市民や関係団体からも、遠隔手話通訳用のタブレット配置や、小中学校での講座、フェスティバル開催など、さまざまな要望が上がっているそうです。既存の体制と合理的配慮の折り合いをどうつけていくか、継続的な舵取りが必要です。

また、職員への全庁的な理解を進める点も、同様に今後の課題となっています。

まとめ

全国の自治体で制定の進む手話言語条例ですが、目黒区での動きは残念ながら遅いと言わざるを得ません。区内団体の意見も伺いながら、条例の可能性を検討する余地は大いにあるでしょう。

私自身も、昨年の若市議研修で「日本手話」と「日本語手話」の違いを初めて知ったという経験をしましたが、こうした理解も含めて、目黒区にいま何が必要か、考えていかなければなりません。