初の代表質問(19第1定例会2日目)

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2019.2.21 本会議(議事次第

本日分の通告

本会議2日目は、私にとって初となる代表質問での登壇。立憲民主・区民クラブを代表して、区長の所信表明演説に対して質問を行いました。以下、原稿をブログ用に書き直して掲載します。

立憲民主・区民クラブ 代表質問

立憲民主・区民クラブを代表し、所信表明演説に関して質問いたします。既出の項目と重複する点もありますが、我々の考えも明らかにしつつ、あらためて質問させていただきますので、ご容赦ください。

行政改革

まず、今後の行政改革について伺います。

(会計年度任用職員)

来年4月1日、2020年度から会計年度任用職員の制度が開始いたします。ここで制度の詳細を述べることはいたしませんが、臨時・非常勤職員が著しく増加する一方で、その身分の取扱いや待遇が問題とされてきたことを受けての法改正であり、本区においても長期的には正規職員が削減されてきた一方で、非常勤職員は大幅に増加しており、少なからぬ影響があると考えられます。

昨年2018年3月に改定した行革計画では、 「非常勤職員・臨時職員活用の考え方の検討」という項目で会計年度任用職員に関する取り組みが進められることになっており、今年度は考え方の検討、来年度はそれを踏まえた見直しの検討を行うとされ、一定の検討は進んでいると思われます。

また、総務省からは2017年8月22日および2018年10月18日付けの通知において、「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」が示されており、地方自治体が実施すべき事項やスケジュールが明示されています。

ところが、このマニュアルの想定スケジュールによりますと、臨時・非常勤職員の実態把握を経て、任用根拠の明確化・適正化と同時に、会計年度任用職員制度の整備、つまり任用・勤務条件などを決定し、2019年第1定例会、つまり今定例会に関係条例を上程することが示されていますが、本区においては、現段階でそういった話は耳にしておりません。

もちろん、これはあくまでも総務省の示したスケジュール案ですので、国の動向や本区の検討状況に応じて、進行が前後することはやむを得ません。しかし、現実に来年4月には会計年度任用職員の制度が開始され、その募集はさらに早い時期から行う必要があるため、時間的余裕があるという訳でもありません。

以上のことから、会計年度任用職員について、現時点での検討状況および本区に見込まれる影響について、1問目として伺います。

(EBPM)

次に、EBPMについて伺います。

EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案)につきましては、私が一昨年2017年の一般質問の際に申し上げた官民データ活用推進基本法に基づく基本計画に位置づけられており、エピソードではなく、合理的根拠やデータに基づく決定によって政策の成果を求める考え方と理解されます。

政府では、EBPM推進委員会によって各府省での取り組みが促され、地方自治体においては幾つかの地域で調査や検討が行われている段階と、まだ本格的な運用には程遠い状況と言えますが、区長が所信表明で述べられている「健全で強固な行財政基盤の確立」や「施策の選択と集中をはじめとした行財政改革」に取り組むにあたっては、今後間違いなく重要な視点となってまいります。

ただ、いきなり今日からEBPMを始めようとしても無理な話であり、その前にデータや統計の入手や分析、それらを用いた政策立案や予算化の手法、実施後の効果の検証方法などを確立しておくことが必要であるほか、人材の育成や発掘も要点であるなど、相当の準備期間を要することが想定されます。

そこで、今後の行政運営を念頭においた上での、EBPMについての本区の考え方を2問目として伺います。

(SIB)

引き続き、SIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)について伺います。

SIBとは、経済産業省によれば、民間資金を活用して社会課題解決型の事業を実施し、その成果に応じて地方自治体が対価を支払うスキームであり、自治体が抱える課題のうち、改善策が不明な事業に対して導入し、成果が上がり継続して実施できると判断される場合には、あらためて委託事業等の形で継続するものです。

先行事例では、2017年度から八王子市および神戸市で国民健康保険加入者を対象とした事業が実施されているほか、今年度には広島県内6市の広域連携で、がん検診の個別受診勧奨事業が開始されました。

本区におきましても、行革計画の「医療費の適正化に向けた取り組み」において、今年度および来年度にSIBの導入に向けた調査・研究を行い、2020年度には導入に向けた具体的方向性を決定することが明記されています。

また、民間シンクタンクが2018年1月に自治体を対象に実施した調査によると、SIB導入が想定される課題領域としては、医療・介護の他にも、公共施設や公共交通、観光施策など多岐にわたっており、導入ハードルの高さと同時に、様々な可能性も感じさせる結果となっています。

そこで3問目として、現時点でのSIBについての検討状況および考え方を伺います。

コミュニティ施策

次に大きな2点目として、コミュニティ施策について伺います。

コミュニティ施策においては、町会・自治会を基礎と位置づけ、住区住民会議を誰もが参加できる情報交換や協議の場とし、今年度および来年度にかけて様々な支援策が打ち出されています。直近の委員会報告でも、まちづくり活動助成の対象を拡大するなど、あらゆる機会を捉えて支援していこうという気概が感じられます。

一方で、「コミュニティ施策の進め方」の4番目にある「様々な団体の連携・協力」については、なかなか具体的な動きを進められていないのが現状かと思います。昨年の特別委員会への報告では、「町会と住民会議との役割分担の協議の進捗状況を踏まえて実施」するとされていますが、ここで言う「様々な団体」は、そもそも既存のコミュニティとは別の回路で動くと考えることもできます。

町会・自治会や住区住民会議への参加を呼びかけることも非常に重要ですが、現実問題として、直近の世論調査における30歳代の町会・自治会加入率は23.9%、住区の活動の認知度は6.5%です。

こうした状況も踏まえると、既存のコミュニティに属さない様々な団体の連携・協力についての取り組みを進めることには大きな意義があると考えますが、区の取り組みの状況を伺います。

児童虐待対策

大きな3点目、学校での児童虐待対策について伺います。

大変悲しいことに、相変わらず痛ましい児童虐待事件の報道が続いています。そして、こうした報道では多くの場合、昨年2018年3月に目黒区内で発生した虐待死事件が言及されており、我々にとってはいつまでも忘れられない、忘れてはいけないことを痛感させられます。子育て世代包括支援センター事業や児童相談所の設置といった新たな施策も講じながら、こうした事件を二度と起こすまいという決意は、行政も議会も同様でしょう。

一方、本年1月に千葉県野田市で10歳の女の子が虐待によって亡くなった事件では、児童相談所の対応もさることながら、教育委員会の対応も問題視されました。学齢期の子どもは多くの時間を学校で費やし、教職員と接する機会も多いことから、虐待から子どもを救うための学校の役割は非常に大きいと言えます。

そこで、確認の意味も込めて、児童虐待に対する区立小中学校の教職員の対応について、区の考え方と取り組み状況を伺います。

SOGIによる差別の解消

次に、大きな4点目として、SOGIによる差別の解消について伺います。

所信表明にありましたように、昨年10月に東京都で人権尊重条例が制定され、SOGIを理由とする不当な差別の解消や啓発が推進されることになりました。この問題に対する世間の関心は高まる一方であり、ちょうど1週間前、バレンタインデーであった2月14日には、同性婚を認めないことが憲法の定める婚姻の自由や法の下の平等に反するとして、13組の同性カップルが国を相手に一斉提訴し、注目を集めています。

本区においては、もとより人権や多様性の尊重を根幹に据えているとは思いますが、時代や社会に応じた施策の転換が遅きに失してはならないと考え、以下伺います。

(人権意識調査で見つかった課題)

まず1問目として、所信表明ではSOGIによる差別解消の取り組みの必要性が認められると仰っていますが、人権に関する意識調査によって抽出された課題について伺います。

(今後の区の取り組み)

次に、これまで述べてきたような世論の高まりや都条例の成立などを受けて、本区での取り組みをどう展開していくのか、2問目として伺います。

(教育委員会での取り組み)

さらに、これは1年目の決算特別委員会の質問でも触れさせていただきましたが、教育現場においては、2015年4月30日付けの文部科学省の通知によって、性的マイノリティとされる児童生徒への対応が求められています。当時、教育長からは「極めて難しい課題であるが、新しい重要課題として鋭意取り組んでいきたい」という旨のお答えを頂いておりましたが、それから3年以上が経過し、様々な形で現場対応が図られてきたことと思います。現在の取り組み状況を3問目として伺います。

プラスチック問題について

最後に大きな5点目として、「環境と調和した持続可能で快適なまちづくり」に関連して、プラスチックの問題について伺います。

海洋プラスチック問題は世界的な関心事となっており、昨年6月のG7シャルルボワ・サミットでは海洋プラスチック憲章が取りまとめられました。残念ながら、米国と日本は署名をしませんでしたが、国内では同じ6月に海岸漂着物処理推進法が改正され、事業者にはマイクロプラスチックの使用抑制や排出抑制の努力義務が課され、政府には施策のあり方を検討することを求めています。

すでに人体からマイクロプラスチックが検出されたという調査結果も発表されており、健康などへの影響は未知数ではありますが、有害物質を吸着しやすいという性質を考えても看過できない事態と言えます。

特に日本周辺海域は、1平方キロメートルあたりのマイクロプラスチックの個数が世界の海の27倍であったという環境省の調査結果も出ており、いわゆるホットスポットとなっていますが、こうした海洋プラスチックが主に近隣諸国から漂着したものかというと、そうではありません。国内の河川を調査した東京理科大学と愛媛大学の研究グループによると、調査対象となった地点の86%でマイクロプラスチックが発見され、その濃度は人口密度や市街地率といった人間活動と、有意な相関関係が認められています。また、株式会社および一般社団法人ピリカの調査では、目黒川の河口付近のマイクロプラスチック濃度は1立方メートルあたり1.2個、世界平均の10倍以上であったという結果も報告されています。この数値には、目黒区における人間活動も影響を及ぼしていることは容易に想像できます。

2019年2月3日の毎日新聞の記事では、東京理科大の二瓶教授が「バケツや洗濯バサミなどのプラスチック製品を長時間屋外に置いていても、劣化してマイクロプラスチックとなる場合もある」と述べていることや、先のピリカの調査においては、最も多いマイクロプラスチックは人工芝から生じたものであったことなどを踏まえると、もはや廃プラスチックのリサイクルを進めるだけでは問題解決になりません。

そこで、こうした状況を受けて、プラスチック製品そのものについての考え方を問い直すべき時期に来ていると考えますが、区の考えを伺います。

以上、壇上からの質問を終わります。ありがとうございました。