目黒区内での細菌性赤痢の発生と対応状況

情報公開

目黒区内保育園での集団感染(資料

既に報道などで大きく取り上げられていますが、目黒区内の保育園で細菌性赤痢の集団感染が発生しました。私も10/23にツイッターで報告しています。

11/12現在で感染者は36名(園児28名、職員4名、保護者4名)となっていますが、11/14の生活福祉委員会において、これまでの対応状況があらためて報告され、概要が見えてきました。

感染拡大の経路

今回の感染は2例目から拡大した可能性が高く、しかもその2人目は園外で感染したものと思われるとのことです。

つまり、10/12に1例目を確認した時点では、当該園児が既に1週間ほど登園していなかったため、最大潜伏期間が5日間であることを考慮すると、感染拡大を防止できる見込みがあったのですが、10/15には2人目の感染者が確認され、同日には既に拡大して潜伏していた可能性があります。

もう少し時系列で見ていくと、

12日 (金) 1例目の発生届。園児はしばらく登園していなかった。
15日 (月) 2例目の発生届。当該園児は休んでいたが、前週は登園していた。
17日 (水) 発熱した子が出たが、赤痢とは判断できず。
18日 (木) 下痢の症状を訴える子が多く出現という報告があり、調査実施を決定。
19日 (金) 全園児・職員の健康調査と検便を実施。
20日 (土) 医療機関からの報告により、園内での感染を初めて確認。
22日 (月) 19日の調査結果によって感染を確認。

このように整理されます。

15日の時点で、園内での周知や消毒の指導などは行われており、その徹底が不足していたという指摘はあろうかと思います。ただ、その時には既に潜伏拡大していたとも捉えられ、乳幼児の感染症の拡大防止の難しさが分かります。

周知について

この度の赤痢発生については、感染者が20名を超えた時点で、内規に基づいて東京都と同時にプレス発表を行っています。

当該保育園や地域については伏せていましたが、マスコミの行動やネット事情を考えると、それらが表に出てしまうのは対策のしようがないとも言えます。

一方で、区としてどこまで情報を開示するかは議論の余地がありそうです。「目黒区内」以上の情報しか与えられていないことによって、いたずらに不安が煽られてしまう可能性も考えられます。

きちんとした情報とともに感染予防法などを迅速かつ広範囲に伝えるのは、区の重要な役割であることから、今後のありかたが問われます。

現在と今後

現代は抗生物質が発達しており、赤痢の重症化を防ぐとともに早い回復も見込めるようになっています。いわゆる「感染者数」が減ることはありませんが、11月以降の感染は2件となっており、現在の当該園では、ほとんどの園児がいつも通り通園できている状態になっているとのことです。

また、終息宣言については、医学的には最大潜伏期間の2倍(細菌性赤痢で言えば10日間)ですが、今回は感染者数も多いことから、通常より慎重に見極めて発信するとのことです。新たな発生のないまま、その日が来るのが待たれます。