「適正な」経常収支比率?(決特1日目)

情報公開

2018.9.14 決算特別委員会

決特の実質的な審議がスタートしました。これから6日間にかけて、2017年度の4会計それぞれの決算を審査します。初日は各会派からの総括質疑が行われ、私も立憲民主・区民クラブを代表して質問させていただきました。

決算の概要(資料

ここでは、最も基本的である一般会計について述べます。

歳入は約953億、歳出は約904億で実質収支額は約48億、実質収支比率は7.6%。経常収支比率は1.5ポイント改善の84.1%で、基金の総額は33億増の383億円余となっています。区債の残高は187億と、さらに償還が進んでいます。財政上の動きだけ見れば、さらに健全化したと言うことができ、概ね良好であったと評価すべきでしょう。

この後で触れる私の総括質疑も、上記の認識に基づいて行っています。

総括質疑

第4会派ともなると、その前の質問者から多岐にわたる質疑がなされた後となりますので、私からは絞って3点だけ伺いました。簡単にご報告します。

1.削ることの見える化

財政状況は改善していると言えますが、高齢化や少子化が今後もたらす影響を考えると、全く楽観はできません。今の行政サービスのサイズのままでは立ち行かなくなる可能性は大きく、優先順位をつけて選択と集中を行うべきことは、かねてから指摘させていただいています。

そこで今回は、新規事業や重点的な取り組みがアピールされやすいのに比べ、終わらせていく、縮小させていく事業は光が当たりづらいことを念頭に、「削ることの見える化」の重要性を訴えました。行政評価制度の構築を急ぎ、それらの材料を踏まえて優先順位を明らかにし、事業を削っていく判断材料を区民や議会に示していただきたいと思います。

2.経常収支比率の適正範囲

今回の目黒区の経常収支比率は84.1%ですが、一般論として、同指標の適正な範囲は70%~80%とされており、これをオーバーしていることになります。監査意見報告書でも、「適正とされる範囲を超えている」との記載があちこちに見られ、さらなる財政健全化を要求しています。

しかし、本当にそうでしょうか。これを今回は疑ってみました。

上記の経常収支比率の「適正範囲」がいつ定められたのかを辿っていくと、なんと1969年、今から約50年前に当時の自治省が発行した書類まで遡り、「80%を超える場合は、その財政構造は弾力性を失いつつあると考えてよい」と記されています。

言うまでもなく、半世紀前と現在では経済成長の段階も人口構造も全く異なり、社会的な課題も行政の役割も違うのは当然です。一つの財政指標の「適正な」基準が同じでいい訳がないと思います。

実際に、総務省の研究会でも、この目安について各自治体の財政構造の変化を踏まえた検討が必要だと指摘しており、かつての適正範囲にこだわっては、現在の事業の適正な規模を見誤る可能性があるのではないでしょうか。

なお、答弁では意外と「現在の経常収支比率が、ただちに問題とはならないと考えている」という認識が示されました。現実的に必要な施策を積み上げているからこその判断なのかもしれません。

3.給食費の公会計化

現在、目黒区を含め多くの自治体の給食費は私費会計となっており、学校で給食費を集め、支出し、各校ごとにPTA総会などで報告するという形式がとられています。

当たり前に続けられてきた慣習ですが、この給食費徴収業務が教員の負担になっているとの指摘があり、「公会計化」する自治体が増えてきています。つまり、自治体または教育委員会が給食費を徴収し、全校を引っくるめての公会計として処理する方式です。

これは透明性の観点からも考えるべきで、目黒区で横領などの事件が起こったとは聞いていませんが、他自治体では問題となったケースが散見されます。

文部科学省も、教員の働き方改革の検討メニューに含めて動き出しているほか、近隣では世田谷区が今年から実施しており、目黒区教育委員会も、先行自治体の事例を調査・研究していくとのことです。

本日の議題メモ

恒例の「どんな質問項目が出されたか」を記録として残しておくコーナーです。次回以降、機械的に掲載していきます。

<総括>
・機動的な財政
・施設整備基金
・収入未済
・ふるさと納税
・区有施設見直し
・コミュニティ施策
・選ばれるまちづくり
・避難所での感染症対策
・災害用トイレの整備
・避難所運営
・資源リサイクル
・オリパラ気運醸成
・児童相談所設置
・休日診療所
・中小企業振興
・学校徴収金の公会計化
・障害児給付金
・滞納対策一元化
・燃えにくいまちづくり
・シェアサイクル
・聖火ランナー
・水害ハザードマップ
・3区間交流
・避難訓練
・治水対策
・扶助費の動向
・避難所への輻射熱式冷暖房整備
・民間保育園の指導検査
・区立保育園の民営化
・児童相談所の設置
・介護現場の実態
・職員定数
・福祉費、生活保護費増大への対応
・BCPに基づく訓練
・行政用語(理事者/請願/陳情/インターン)
・地域の底力事業の補完