オミクロン禍の議論(1)

情報公開

都議会議員の西崎つばさ(目黒区、38歳、3児の父)です。

オミクロン株による新型コロナの感染が、かつてないペースで急拡大する中、都議会の新型コロナ対策特別委員会において質問を行いました。以下、その趣旨を2回に分けてご報告します。

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はじめに

かねてから、新型コロナの結末は「医学的終息」と「社会的終息」の2パターンがあると指摘されています。

つまり、
・医学的終息…根絶までは行かなくとも、感染者や重症化率、死亡率などが極めて抑えられた状態が続けられるようになる。
・社会的終息…一定程度の感染状況が許容され、withコロナで社会・経済活動を回していくことに関する社会的合意が形成される。
という事です。

もう2年にもなるコロナ禍で、かつての日常を渇望する気持ちは痛いほど分かりますが、一部ではオミクロン株が重症化しづらいという楽観論が出始め、感染症法における5類相当への見直しを主張する論者も散見され、小池知事もメディアの前で言及する場面がありました。

しかし、国の基本的対処方針でも「まず軽症者の数が急激に増加し、併せて中等症者も一定程度増加し、その後、高齢者に伝播し、重症者数、入院者数も増え医療全体が逼迫し、さらに社会機能の維持も困難になってくることも懸念される」とされています。

少なくとも目下、社会的終息を模索する状況では全くないと私は考えています。つまり、感染防止と社会・経済活動の両立を目指しつつも、一定程度の感染は許容するべきではないという前提に立っています。

重点措置の申請が遅かったのでは

都は、重点措置および緊急事態宣言の要請基準(病床使用率20%および50%)を1/13に公表しましたが、その時点で20%の基準超過はほぼ見えており、実際に要請する運びとなりました。

ただ、オミクロン株が比類ない感染力を持っていること、そして新規感染者数が増加傾向にあったことは分かっていた訳ですし、今後爆発的に拡大することは明らかだったと思います。

今さら正常性バイアスが働いたとは思えませんが、要請が遅すぎたのではないかと思います。まん延「防止」ではなく、まん延「後」の措置になってはいなかったでしょうか。

都は「病床確保などの医療提供体制や、都民への呼びかけ強化などに先手先手で取り組んできた」との見解を示しましたが、ここで「先手先手」と言われてしまうと、認識の違いとしか言いようがありません。

緊急事態措置の要請基準は

あまり考えたくありませんが、今後も病床使用率が増え続けたとして、50%に到達した時点で緊急事態措置の要請を検討するとしています。

ただ、現時点で見えているオミクロン株の特徴や状況を踏まえると、この方針を見直す必要はないのでしょうか。さらなる対策の強化も必要になるのではないでしょうか。

都は、現時点で基準を見直すことは考えていないようですが、さらなる対策も含め、最大限の警戒をお願いしたいとおもいます。

解除の基準を示しては

あらためて、都民や事業者が生活や営業の制限をお願いされることになったのですから、どうなれば措置が解除されるのかという指標や基準について、一定程度はお示ししておくべきだと思いますが、明確な数値が示されている訳ではありません。

都は、「重点措置の解除については、感染及び医療提供体制等の逼迫の状況および国の基本的対処方針分科会の意見を踏まえて、政府対策本部長が総合的に判断する」との姿勢を打ち出しています。

ただ、自ら基準を決めて要請をしておきながら、「解除は政府対策本部長の判断です」というのは、制度上そうであったとしても、もう少し説明責任が果たされても良いと思います。国との調整も大事でしょうが、都民や事業者に、丁寧な説明があって然るべきでしょう。

感染症法などの改正について

オミクロン株拡大への対策は、これまでの施策の検証に基づいて実施されるべきであることは言うまでもありません。昨年夏の第5波では、深刻な医療逼迫が問題となり、病床確保が大きな課題とされましたが、そのための国や自治体の権限などの見直しの検討すべき点が多々ありました。

立憲民主党は、知事が医療機関に対し、設備、人員の配置の変更等の要請・指示をできるようにすることなどを盛り込んだ特措法の改正案を提案していますが、この通常国会では、議論が進められていたはずの感染症法の改正は先送りされることになっています。

小池知事も記者会見の場で、優先順位が違うのでは指摘していましたが、最前線で現場を持ち、各種の制度的な壁も感じてきたはずの都から、きちんとした法整備に向けた申し入れなどを行うべきではないでしょうか。

我々の仲間も国会で主張しているところですが、政府与党の政局的な思惑でコロナ対応が後手に回ることなど、決してあってはなりません。