「議会をサボっても、報酬は丸もらい」問題

レポートWeb版

都議会議員の西崎つばさ(目黒区、38歳)です。

任期開始から4ヶ月が経ち、議会活動にも少しずつ慣れてきました。区議時代と同様、今後も定期的にレポートの形式で社会・政治のトピックをお伝えしてまいりますので、引き続きご注目ください。

長期欠席議員の報酬減額に向けて

世間を騒がせた「不祥事議員」

新型コロナ対策をはじめ、様々な都政課題が山積している中、全く別の角度から不名誉な注目を集めたのが、不祥事を起こした都議の問題です。この議員は、選挙期間中に無免許運転で交通事故を起こし、相手にケガを負わせ、しかも現場から逃走していたことが、当選後に発覚しました。

都議会は、この議員に対する辞職勧告を2度にわたって全会一致で決議しましたが、残念ながら法的拘束力はなく、当初は議員を続ける意向が示されました。

その後、出席しようとした委員会が開けずに流会となるなど、議会運営にも支障をきたしていたところ、11月22日にようやく、本人から辞職届が提出されました。

報酬・政務活動費は満額支給

この問題は一区切りとなりましたが、同時に問題視されたのは、数ヶ月にわたって全く議会に出席しなくても、議員報酬と政務活動費の全額が支払われ続けた事実と、これを許してしまった都議会の仕組みです。確かに、現在の規定では、理由を問わずどれだけ会議を欠席したとしても、議員に対して何らかのペナルティが課されることは一切ありません。

最高裁は、勤務実態のない選挙管理委員に報酬を支払い続ける規定が無効であると2015年に判断していますが、それと比べてもアンバランスと言わざるを得ません。

国会でも、たった一日で100万円の「文通費」が支給されたことが問題視されましたが、議員特権と言われないよう、常に制度の見直しを行うことは当然だと思います。

新たな「長期欠席議員」対策

そこで、都議会立憲民主党は内部で議論を重ね、一定期間以上議会を欠席した場合には、議員報酬を減額する条例案を提出することにしました。

一部には、「議員と民間は違う」とか、「選んだ有権者の意思を尊重すべき」といった慎重論もあります。しかし私は、議員の最大の仕事は、人々から託された議決権の行使であると思います。皆さまが払った税金の使いみちを決めるのは、皆さま自身です。ただ、都議会に1400万人が集まる訳にはいかないため、その代表を選んで決定権を委ねているのです。

議会に出席せず、「議決」という最大の役割を果たせていない以上、報酬を減額されて然るべき、というのが私の信念です。

条例案のポイント
・2回の定例会にわたって欠席が続いた場合、月額報酬を1/2に減額する。期末手当もこれに準ずる。
・逮捕や勾留によって欠席した場合、不起訴処分または無罪確定まで支給を停止する。
・出産や公務災害、感染症などは適用除外とする。

その後、他の会派からの賛同もあり、10月6日の都議会本会議において、条例案を共同提出いたしました。

現在は継続審議となっていますが、これに加えて、他の分野の議会改革も見据えた「都議会のあり方検討会」が設置され、私も、33名の新人議員の中で唯一のメンバーとして選ばれました。いまだ古い慣習の残る都議会を変えていけるよう、議論を提起してまいりたいと思います。

目黒区議会では条例が成立

実は、このテーマについては、私が区議となった直後の2015年から問題意識を持っており、これまで全国の地方議会の取り組みを調査し、研究を重ね、提案を続けていました。

2020年からは、実際に目黒区議会全体での議論が始まり、検討が進みつつあったのですが、ついに本年9月30日の目黒区議会において、議員報酬等について定める条例の改正案が全会一致で可決され、長期欠席議員に対する報酬減額のルールが正式に決定しました。

ちょうど都議会に先行する形で、目黒区で改革が実現したことを大変嬉しく思います。

皆さまは、どう思われますか?

地方自治法203条では「議員に対し、議員報酬を支給しなければならない」と定めていますが、欠席に対する報酬の減額は認められると解釈されており、現実に約200の地方議会がこうした条例を定めています。

確かに、議員の仕事は議会への出席だけではないかも知れません。しかし、皆さまに託された決定権が行使されない場合に何らかのペナルティを課すことは、有権者の理解を得られるものであると信じています。

それと同時に、こういう時代ですから、病気やケガ、育児や介護などの事情があっても、オンラインで議決権を行使できる仕組みを、真剣に考えなければならないと思います。

ぜひ、皆さまのご意見をお聞かせください。

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