介護保険の第7期へ向けて

西崎つばさの活動

朝イチで向原住区のふれあい祭りに長男を連れて遊びに行ったのち、午後は「市民と議員の条例づくり交流会議」へ。テーマは「介護保険制度の改定と議会審議のポイント」と、いつもとは少し異なった趣です。

現在、各自治体は、3年を1期とする介護保険事業計画の第7期の策定に向けて作業を進めているところです。今後、議会にも計画策定の報告や介護保険特別会計予算の議決などがやってくる中で、どう向き合うべきかを考える場となりました。

本日のメイン講師は、淑徳大学コミュニティ政策学部の鏡教授。介護保険制度そのものについても、強烈なインパクトのあるお話を頂きました。

まず、介護保険制度は、そもそも福祉制度ではなく保険制度であることを踏まえければなりません。福祉制度であれば、自力でやっていくのが困難であるという「明確な理由」がある方々に、必要な支援を届けるという考え方で良いのですが、保険制度はリスクに備えて保険料を納めているわけですから、その対価として給付を受ける権利があると考えられます。

実際に、介護保険給付は要介護認定によって決定されるものであり、本人の所得や家族構成などの事情を考慮する項目はありません。福祉制度である生活保護が、親族の状況まで踏まえて判断されるのとは大きく異なります。それが、保険料負担の対価としての給付という考え方です。

さて、介護保険法の1条をざっくりまとめると、年を取って要介護状態となった方が、能力に応じて自立した生活を送れるよう給付を行うことが目的とされています。つまり、要介護状態になった時に生活できるよう保険をかけておくことが目的の制度、と言えます。

一方で4条では、要介護にならないよう、もしくは要介護になっても、積極的にリハビリして能力の維持向上に努めることが規定されており、あらためて読むとストイックな内容となっています。

この2つは、大きくバッティングします。一方では、要介護になった後を支える制度としておきながら、もう一方では、そこから這い上がる努力を求めているからです。いわゆる健康寿命を伸ばすための支援は必要だと思いますが、心身ともに機能低下の状態にある方に、リハビリ等の努力を強いる(ましてや保険料負担の対価として)ことが適切な介護であるとも思えません。

ここから分かるのは、「適切な介護」の唯一解は存在しないこと、さらには自治体によって何を目指すかが変わってくるということです。

現在の政府が推奨するように、和光や大分をモデルにした給付費抑制を進めるのも一つの方法ですし、それなりの負担を許容する代わりに、特養全入など給付を充実させるという選択肢もあります。講義の中では、30万人都市で100名定員の特養を1つ作ると、保険料負担は100円上昇するという数字が例示されました。10ヶ所作れば1000円上がるわけですが、自治体がどこで線を引くのか。客観的な数字と住民の意志を根拠に、その線引きをするのが議会の仕事なのではないか、というのが今日の趣旨です。やはり条例づくり会議らしくなってきました。

その他、第7期の保険料は大まかな試算はできるという話であるとか、ついに全自治体で開始した総合事業の課題であるとか、様々なポイントを知ることができました。

正直、私も強くない領域ですので、ますます勉強に励み、議会での審査にあたっていきたいと思います。