介護離職についての学習会

西崎つばさの活動

来月の一般質問の準備に入っています。情報収集の講義を何度も受けておきながら、独自のルートでプロに資料を依頼。区議会にもこんな機能があったら、なんと便利でしょうか。

さて、午後は労働組合の連合東京、中南ブロック地協の政策学習会へ。介護による離職と介護職の離職について学んできました。このトピックに限らず、労組は幅広いテーマで勉強会などを組んでいますが、社会の安定こそが、雇用や労働にとって最も根本的な課題であるという認識に立っています。

社会保障に関しては、将来に備えた制度設計はもちろん望むところですが、そもそも労働者は現在の仕組みの担い手ですから、しっかりと中身の検討、提言も行っていくという方針なのです。

さて、人口推計については今さら言及するまでもありませんが、中位推計で2060年には高齢化率が40%近くになることや、単身世帯が増加すること、特に都市部での高齢化が急速に進むことが懸念されています。すでに現在、介護保険制度の設立当初から比べると、認定者数は2.3倍に増加、給付費も2.5~3倍となり、保険料も増加の一途を辿っています。(制度の持続可能性についても議論のあるところですが、今日は置いておきます。)

さて、介護離職について。
平成24年の就業構造基本調査によると、介護をしている労働者は約240万人で、うち女性が6割弱。近年、男女差が見られなくなってきています。一方、介護離職は年間約10万人で、うち女性が8割と、こちらは圧倒的に女性が多くなっています。やはり大きな壁が存在しています。

労働組合員へのアンケート調査では、40歳以上の6割が介護をすることになるであろうと想定しており、9割が不安を抱えています。また、介護経験者の3割が、仕事を辞めようと思ったことがあると回答しています。

こういった背景に対応しようと今年から施行されたのが、改正介護育児休業法です。いくつかポイントがありますが、介護休業の分割取得や、介護休暇の取得単位を半日としたこと、所定労働時間の短縮措置など、残業の免除、対象家族の範囲拡大などが定められました。

法改正も一定の評価はされるところですが、これは事業者の最低限のルールを定めたものです。労働者にとって、真に就業継続できる環境づくりは、労使でしっかりと話し合われる必要があります。

また、介護職員の不足も深刻です。現在の有効求人倍率は4倍程度となっており、すでに不足感は強い状況です。厚労省の推計では、2025年37.7万人の人材が不足するとされており、介護人材の不足がサービス提供体制を脅かし、介護離職の原因となることが懸念されています。介護職員が離職する理由は、やはり処遇の低さや将来への不安が大きく、ここへの対応も急がなければならないでしょう。

最後の質疑では、介護のために退職し、介護保険も使わずに自ら親の面倒を見ている方についての言及がありました。いまだ、制度を利用せずに自分で頑張ってしまう方も多く、他人に見させるわけには行かないという社会通念が残っているようです。

制度自体が疲弊している中で、自信を持って言える訳ではありませんが、やはりここも受援力だと思います。個人の責任ではなく、社会で介護問題を解決しようという仕組みを作ったのですから、その支援を受ける力を社会につけさせることも重要でしょう。