那須塩原市にて

研修・視察

研修シーズンは、若市議シーズンでもあります。今日は関東公式研修ということで、栃木県に行ってきました。那須塩原市を舞台に、観光施策とシティプロモーションがテーマ。

観光については、2つの温泉が最大の資源との事ですが、「那須」の名前を出すと、那須高原など那須町が前面に出てしまうとの事で、「那須塩原温泉」、「板室温泉」を押し出す工夫が必要、と意外な苦労が。

こちらは3市町が合併したという経緯があるため、3つの観光協会がそれぞれバラバラに、異なる方針で対策を打っていたのが課題でした。そもそも、隣の温泉地同士はライバルであった訳ですが、同じ市となり、全体的にも団体から個人へと観光の重点がシフトしている中で、そんな事言っていられないという危機感が芽生え、平成26年5月に外郭団体のような形で「那須塩原市観光局」が設置されました。

民間から旅行会社OB人材を登用したり、主催者となるため旅行業に登録したり、行政と切り離すことで意思決定を迅速化したりと、体制を整えながら、植栽の整備や地元産食材の提供、回遊型へ誘導する観光施策など具体的な対策を打ち出しています。

ただ、人手不足が課題との事で、シティプロモーションとの相乗効果も期待されます。

そのシティプロモーションですが、まち・ひと・しごと総合戦略の中で、人口&生産年齢人口の維持と、市に愛着を感じる人を80%にすることを目標に据えて、定住と移住の促進を切り分けながら、「地域(まち)に真剣(マジ)になる人を増やす」仕組みを構築するために、独特の仕掛けが数多くなされていました。

移住については、例えば新幹線通勤者への補助を行っています。しかし、東京まで通うのに月13万円かかるのに対し、月の補助額は1万円。全く追いつかないのですが、この施策を打つことによって、JRが駅にポスターを一斉に貼ってくれることになり、東京に近いイメージ作りに貢献したとの事。

また、市の魅力を伝える30秒動画を作成し、そのキャッチコピーを募集することで、2万3千点の応募がありました。作成の過程でPRに繋げるという狙いです。

他にも、イベントでの芸能人起用によるマスコミの活用や、出産・子育て雑誌とのタイアップなど、様々な発信の工夫に取り組んでいます。

一方、定住促進については、3世代同居による改装などへの補助金を支出し、それを業者がPRすることで市の取り組みを拡散させることや、若世代にターゲットを絞ったパンフレットを市民参加で作成することなどを行っています。

特に重要なのが定住の方であると力説されており、究極には、市役所の全ての業務がシティプロモーションであるというお話がありました。

ただ、こうした取り組みは、2名(のちに3名)だけしか配置されていないシティプロモーション室で進めるのには限界があるため、市役所内の有志を募り、本来の仕事とは別の定住促進実行部隊を結成しました。20名ほど集まったそうです。

さらに今後は、市民と行政が一体となって情報発信やイベントの企画運営などを行う「なすしおばらファンクラブ」を設立する構想があるそうで、市内外の人に自分事と捉えてもらう仕組みを築いていくとの事でした。

シティプロモーションとは、対外的な施策であると思われがちですが、本来は対内的、いま住んでいる人たちのシビックプライドを醸成する取り組みなのだと理解させていただきました。

であれば、人口減少とか少子化とか、過密とか過疎とかは関係ありません。目黒にも取り組むべきシティプロモーションがあるのではないでしょうか。