政策(2021年版)

新型コロナの克服とポストコロナに向けて

  • 積極的なPCR検査を展開して、隠れたクラスターをあぶり出し、感染の連鎖を断つ取り組みを進め、徹底的に抑え込みます。
  • コロナ退院後の医療は、肺炎の完治、ステロイド離脱など、地域医療機関での診療が必要です。また、コロナ後遺症の相談の拡充、適切な医療を受けられる体制も必要です。診断・検査から、入院、退院後、健康体に戻るまで、切れ目のない相談・医療体制の確保に取り組みます。
  • 都立病院は、公社病院も含めて「都立病院」として一体的に運営するとともに、感染症対策など行政的医療の強化に向け、その役割を明確に位置づけていきます。
  • コロナワクチンについては、正確でわかりやすい情報を提供し、公平・迅速な接種を実現します。また、現場の最前線に立って社会昨日の維持に日々汗を流し貢献している、交通、運輸、生活必需品の販売員、清掃・介護保育・教育の従事者、都内のエッセンシャルワーカーに優先的に接種すべきであり、駅前接種やワクチンカーの巡回などを都として行います。
  • かかりつけ医制度の普及促進による役割分担、検体や患者の搬送業務の外部委託、デジタル化の推進など、保健所が担う業務のあり方を検討します。
  • 23区ごとの縦割りではなく、区の枠を超えた保健所同士の連携や人事交流、都と区の連携で、感染症対応の相互補完体制を目指します。
  • トライアル就労を活用した早期就業支援をはじめ、人手不足の業界と連携した再就職支援など、コロナ禍で想定される失業者数に見合った規模で事業を実施します。
  • 失業した若者などに、ITに関する職業訓練と再就職支援を実施するなど、東京の成長を支えるIT人材の育成への取り組みをより一層強化します。
  • コロナ禍で改めて浮き彫りになった所得格差の是正、前年の所得を基準とした給付決定などの課題を受け、目の前の支給や減免などの対応策に加えて、平時からのセーフティネット構築を急ぐため、所得補償のための給付を所得税の仕組みを使って行う「給付つき税額控除の導入」に向けて、国への働きかけなど、積極的に取り組みます。
  • 水道料金や各種手数料などについても、オンライン決済、キャッシュレス決済を拡大し、利用者の利便性を高めつつ効率性の高い収入・決済を拡大します。
  • 都のオープンデータの推進にあたっては、利用者ニーズの調査を行い、誰もが利用しやすい形で公開します。

みんなで子育てを支える社会へ

  • 子育てにやさしい東京を目指して、子育て支援世界トップレベルを実現します。また、育児休暇の男女平等など、両親が子育てや家事に積極的に取り組むことができるジェンダー平等を推進します。さらに、子どもの教育は本来無償であるべきとの考え方にもとづき、教育予算を拡充していきます。
  • 認可保育所、認証保育所を利用する多子世帯などへの利用負担軽減を拡充し、無償化する区市町村を支援します。
  • 不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりなど、通院やそれに伴う体調不良は予定が立たないことを理解し男性も女性も必要な配慮が受けられるようにします。
  • 児童虐待・虐待死ゼロを目指し、児童相談所の人員を増やし、心理診断や医学診断などの専門家の積極的活用など体制を強化します。また、子どもの養育に課題を抱える家庭の困り事や悩みを地域の関係機関で受け止められるサポート体制の強化、在宅サービスの利用を推進します。さらに、児童相談所を設置する区に対してしっかり支援します。
  • 私立幼稚園などの一時預かり事業に対して補助を実施するとともに、預かり保育の拡充や小規模保育施設などとの連携を進めるために、都独自に補助を行います。
  • 公立学校と公費投入に格差がある現状に鑑み、私立学校におけるICT機器などの利用環境の整備をさらに促進します。
  • 少人数学級を早期に実現します。
  • 児童・生徒の一人1端末での常時接続授業を実施し、弱点を瞬時に把握するなど個に応じたきめ細かい指導を充実するとともに、教員と児童・生徒間双方向型授業など、個別最適化された学びを推進します。
  • 児童・生徒の学びをサポートする学校図書館機能を充実・強化するため、司書の配置を支援します。
  • 不登校児童・生徒への支援は、学校に登校するという結果を目標にするのではなく、自ら進路や学びを主体的に捉えて、社会的な自立に向かう過程として、本人の希望を尊重した上で個性や能力に応じ、フリースクールやNPO、教育支援センター、ICTを活用したオンライン学習など多様な学習機会を確保し、過去の画一的な出席の考え方は廃します。
  • 自分の大切さと人の大切さを実感し、考え方や行動、人間関係においてもそれを表出できる人格形成、コミュニケーション能力や理解力を育てる教育を進めます。子どもの権利条約を知り、学ぶ機会を増やします。
  • 学校における性教育・性に関する指導において、専門家の協力も得てライフステージを通じた性と生殖に関する教育を充実させ、年齢が妊娠に与える影響に関すること、望まない妊娠や性犯罪被害、性感染症に関することなど、必要な知識を得られるようにします。
  • 日本が民主主義国として歩みを進める中で、多様な意見を政治に反映させることの重要性、さらには税や社会保険、働く意義、財政問題、社会保障なども含めた幅広い知識をもって、政治参画が自分の人生や生活に大きく関わることなど、主権者教育をしっかりと行います。
  • 誰もが人格と個性を尊重し合う全員参加の社会実現に向けて、障害のある子もない子も同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育を推進します。その際、子ども一人ひとりの教育的ニーズや特別なニーズに応じた支援を保障し、充実した学校生活を送ることができるよう取り組みます。
  • 医療的ケアが必要な児童・生徒の学習の機会を拡充するとともに、看護師の確保など、障害のある児童・生徒の力を育む教育を推進します。
  • 多様な課題を抱える生徒などに対応するため、NPOなど民間団体との連携を推進しながら、交流の場や居場所づくりの展開を図り、学習支援や就労支援、進路相談、生活相談など、多様な支援を実施します。
  • 都立高校などの入学試験において、本人・保護者の希望、障害などを踏まえた合理的配慮の対応を進めます。
  • 日本語指導を充実させるとともに、入学から卒業まで母語と日本語のケアを継続的に行うプログラムを実施して、日本語を母語としない子どもの学習を支援します。
  • 都立高校などの制服・校則やその指導のあり方については、生徒同士や学校との話し合いなど、生徒自身の学校生活に関わるものについて、自ら考え決定できるよう考え方を見直します。

安心・安全・快適で持続可能なまちづくり

  • 日頃から避難について考えるための「東京マイ・タイムライン」の普及拡大に取り組むとともに、区市町村庁舎の非常用電源設置や一時滞在施設などにおける充電機材など設置に支援します。
  • 総合的な治水対策を着実に進めるとともに、さらなる豪雨対策・地下街浸水対策に向けて取り組みます。また、緊急豪雨対策として一時貯留施設の設置を促進します。
  • 自転車の安全利用を推進するため、学校教育などあらゆる機会を捉えて、交通ルールの普及啓発を図るとともに、自転車利用を進めます。 また、認知機能検査・高齢者講習の体制の拡充など、交通安全教育を推進します。
  • 宅配やデリバリーサービスの増大に対応した交通安全施設の整備を進めるとともに、事業者と連携した交通安全教育を実施します。
  • 警視庁が保有する交通事故位置情報などのビッグデータを公開するとともに、タクシーのプローブ情報の活用をはじめ、ICTを活用した交通事故防止や交通渋滞緩和に取り組みます。
  • 救急搬送時間の短縮に向けて、全国平均以下の39.5分を目標として、救急隊を増強するとともに、ビッグデータなどICTを活用して、効率的な救急対応を推進します。また、携帯端末の映像を活用するなど、現場での応急手当の実施率向上を図ります。さらに、救急相談センターの体制整備など、救急車の適正利用を推進します。また、AEDの設置を推進します。
  • 東京外郭環状道路については、陥没事故の科学的知見に基づいた徹底した原因究明を図るとともに、納得のできる再発防止策が講じられるまで、工事再開を見合わせるよう国などに対して求めていきます。
  • 高齢化の進展や宅配需要の高まりなどを踏まえ、貨物車専用の荷さばきスペースの設置増設をはじめ、実情に応じた駐車規制の緩和をさらに進めていきます。
  • IRにおけるカジノの誘致については、デメリットが極めて大きいことから、反対します。
  • 羽田空港の新飛行ルートについては、固定化を避けるための取り組みを早急かつ具体的に進め、見直しを図るよう国に対して求めていきます。
  • コンテンツ産業の振興に向けて、集積支援やマッチング、海外への発信を進めるとともに、著作権など知的財産の保護を支援します。また、伝統工芸や食を含む日本・東京の魅力を世界に発信していきます。
  • 中小企業の危機管理対策を推進するため、BCPの策定を支援するとともに、サイバーセキュリティ対策への支援を拡充します。

自分らしさを実現するための福祉

  • 生活困窮者自立支援法に基づく事業が、区市町村で着実に実施されるように取り組むとともに、自立相談支援に従事する職員への研修・助言・相談を行い支援の質向上を図ります。同時に、公共料金の支払状況などと連動した見守りやアウトリーチなどの方策を強化します。
  • ひきこもりの状態にある人やその家族への支援として、年齢にかかわらず受け付ける相談支援窓口を設置します。アウトリーチ活動、居場所支援のほか、地域包括支援センターなど関係機関と連携した切れ目ない支援を推進し、8050問題への対応を進めます。
  • 家賃補助や空き家活用など、都が直接住宅を建設する以外の方法での支援策拡充で、低所得かつ住宅に困窮する都民の多くに対して平等な住宅政策を構築していきます。
  • 低所得者や高齢者、ひとり親家庭など、住宅確保要配慮者への家賃補助(住宅クーポンなど)の実施・拡充などにより、住宅セーフティネット機能を強化します。
  • 介護人材確保のため、資格取得支援・奨学金返済の支援・キャリアパス導入・宿舎借り上げなど、継続的な処遇改善を図ります。あわせて、ICT化・介護機器の活用などの負担軽減、研修などを行います。コロナ禍において、処遇改善はますます緊急課題となっていることから、都として率先して取り組みます。
  • 高齢者や障害者、医療的ケア児、高次脳機能障害などケアを必要とする方の家族が介護するのは当たり前という根強い意識から脱却し、休息やサービス利用などケアラーを理解し支える社会へと転換します。
  • ペットの殺処分ゼロを確実に実現するために、保護した動物の譲渡の拡大などに取り組みます。また、アニマルウェルフェアの趣旨を踏まえた適正飼育や終生飼養の普及啓発を進めるとともに、動物取扱業の監視を強化します。
  • 受動喫煙ゼロを実現するため、東京都受動喫煙防止条例の徹底に取り組むとともに、受動喫煙防止策への支援拡充や禁煙治療に対する助成などを進めます。また、たばこによる健康影響防止対策、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の認知度向上、検査受診のための施策を進めます。
  • 薬物やアルコール・ギャンブルなどの依存症・アディクション(嗜癖)の当事者団体などと連携し、当事者支援を進めます。また、ネット障がい(ゲーム障がい)についての周知や支援など対策を進めます。
  • ヤングケアラーの実態把握調査を行い、支援体制を構築します。

多様性を東京の誇りと魅力に

  • ジェンダー平等社会の実現には、審議会など意思決定過程への女性参画、女性起業家への支援はもちろん、女性の非正規労働者や失業者、低所得者の視点から、相談・支援策を充実させることが重要です。ジェンダー平等の視点で東京都のすべての予算を見直し、総点検する「ジェンダー予算」の実現に向けて取り組みます。
  • 選択的夫婦別姓の法制化を国に対して強く働きかけていきます。
  • LGBT当事者の同性婚を法制化する「民法改正案」を提案しており、同性婚の早期実現に取り組んでいきます。実現までは、東京都版パートナーシップ制度(仮)を創設するとともに、同性カップルへの差別・不利益解消に取り組みます。
  • 都営住宅の入居はもとより、賃貸借契約などの契約や病院での面会、就職などにおいて、SOGIによって差別されることのない社会づくりを推進します。
  • 義務教育年齢の外国籍児童生徒の就学率向上と進学を促します。また、夜間中学校の設置を含め、区市町村を支援するなど、日本語を母国語としない児童生徒の日本語学習能力向上に取り組みます。
  • 地域力の向上に向けて、新たな担い手の発掘・活用など、地域コミュニティの活性化に取り組みます。また、地域の課題解決に向けて取り組む町会・自治会を支援するとともに、IT化・デジタル化についても支援します。
  • SNSなどの拡散力のあるインターネットでの創作活動、マンガやアニメなどの創作活動を委縮させてしまわないよう、表現活動に対する都の率先的な啓発に取り組んでいきます。また、青少年健全育成条例の運用にあたっては、漫画家や作家、編集者など、現場に近い方から意見を聞く工夫を行います。
  • 東京2020大会については、大会準備に多額の税金を使い、多くの都職員を派遣していることに鑑み、共同実施事業の契約情報、議事録の公開を進めます。組織委員会の資料の保存・公開・検証に取り組みます。
  • 三障がいすべてにわたる障害者スポーツの振興のために、特別支援学校を活用するなどして地域における場を拡大するとともに、パラスポーツ人材の地域への派遣・活用に取り組みます。また、パラスポーツの拠点整備などを行う市区町村への支援を行います。
  • テレワークの拡大・定着に向け、テレワーク機器を整備・導入しようとする企業への支援を拡充するとともに、サテライトオフィスの整備に向け、支援を拡充します。
  • テレワークを積極的に活用して、すべての人の働く意欲に応え、能力を発揮できる環境の実現を支援します。さらに、女性・高齢者・障害者などの就業機会を拡大し、出産・育児・介護と仕事の二者択一を迫らない仕事のあり方、家族と過ごす時間が増える働き方を実現するよう、企業に働きかけます。
  • 労働相談情報センターで、「長時間労働の是正」「均等・均衡待遇の実現」の問題を重要課題として位置づけ、労働者からの相談機能や企業訪問などを強化します。また、指針の策定・改訂など、各種ハラスメントの対策を強化します。
  • 元気で就労意欲が高く、貴重な経験と知識を持った高齢者の就業を支援し、ノウハウや技術の伝承、働きやすい職場環境の整備を進めます。

真に開かれた行政、議会へ

  • 真の情報公開を推進するため、知事の政策決定過程に関わる情報をはじめ、開示請求の頻度が高い情報などを積極的に公開します。
  • 都民意見の公募・パブリックコメントについては、一部の計画や方針に限らず、広く情報公開ポータルに掲載するなど、より多くの都民が閲覧し意見公募を目にする機会を増やす工夫をします。また、都民の意見をより迅速かつ柔軟に収集するため、アプリなどを活用したデジタル・アンケートを実施します。
  • 天下りを厳しくチェックします。退職職員が再就職した場合の届出義務を延長します。公金の支出先情報を公開し、都民がチェックできるようにします。
  • 地方分権については、国に対してさらなる権限移譲を求めるなど、引き続き取り組みます。
  • 消費税收の国と地方との配分割合の見直しなど、地方税財源の拡充に向けて取り組むとともに、受益と負担という地方税の原則をゆがめている、ふるさと納税の是正を求めていきます。
  • 都区のあり方検討委員会の再開に向け取り組みます。さらに、都区財政調整制度についても、配分割合を協議するとともに、特別区都市計画交付金についても、議論を深めていきます。
  • コロナ下での専決のように、知事の独断で営業権を制限するような決定は避けなければなりません。現在、2月、6月、9月、12月と年4回に分かれている議会を年1回の通年議会とします。
  • 都議会基本条例を制定し、都議会の不断の改革に取り組んでいきます。
  • 多様性のある都議会を実現します。障がいのある人が活躍できる環境を整備します。
  • 小池都政に対しては、是々非々の立場で、議会としての監視機能をしっかり果たします。