視覚障害と図書館

西崎つばさの活動

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の勉強会。今日は東京エリアの勉強会ということで、継続的に実施している図書館や議会図書室の改革を目指す内容です。これまた継続的に、私が司会を仰せつかっている場でもあります(^_^;)

さて、中身。

図書館総合研究所の佐藤さんからは、行政課題を解決する手段としての図書館のあり方について説明がありました。これまでも、つがる市の農業支援や長崎市のガン対策などのお話を伺ってきましたが、今回は新たに、大和市の新施設「シリウス」内の図書館に、リタイアした男性の居場所にする狙いがあることをお話しいただきました。そういえば、若市議の神奈川研修で大和市に行った際に、完成間近の外観を見てきた記憶があります。

今回の研修で最も衝撃を受けたのは、同研究所の特別顧問である植村さんのお話です。
彼は、明暗だけしか分からないほどの視覚障害を持っています。勉強が困難だったことから大学への進学を諦めましたが、10年ほど働いた後に、技術革新により読書などが可能となったことから、再び勉強を積まれ、現在は立命館大学人間科学研究所の客員研究員も務められています。

一般のパソコンに読み上げソフトをインストールし、パワーポイントの資料を耳で確認することで、傍目からは分からないほど見事にプレゼンをされていることにも驚きました。

さて、公共図書館における視覚障害者サービスの実態について。

公共図書館のうち、障害者サービスを実施している割合は2010年で66%であり、増加傾向にあります。サービス内容は、対面朗読、郵送貸出、録音・点字資料の貸出、配本サービスなどがありますが、メニューは用意されていても、利用者がゼロという館もあります。特に対面朗読は、利用者ゼロの館が全体の37.4%にものぼっています。

対面朗読サービスは目黒区の図書館でも行っていますが、利用状況が良くない最大の理由は、視覚障害者にとって便利なサービスではないからとの事です。対面朗読は来館しなければ利用できませんが、視覚障害者にとっては移動にも大きな負担が発生します。

そもそもの始まりは、1960年台に出された視覚障害者の学生からの要望でした。図書を点訳するのには時間がかかるため、学生が必要とする情報を迅速に得るのには向いていないためです。1970年に日比谷図書館でサービスが開始された後に全国に広まりましたが、その過程で住民サービスへと変化を遂げました。

しかし、障害の特徴やニーズの違いが考慮されないままサービスが一括りにされてしまっているため、なかなか利用されていないというのが現状になっています。

一方で、ICTを活用したサービスに期待が寄せられています。視覚障害者の点字習得状況は、点字ができる方が12.7%、できないが必要としている方が6.6%となっており、率直に言って点字が読める割合は少ないです。しかし現代においては、技術によって読書の課題を克服できるのです。それは、読み上げソフトでプレゼンしている方を目の当たりにすれば、よりいっそう実感をもって納得できます。

少し前のデータですが、都内のネット普及率は平成23年末で79.1%。翌年24年の視覚障害者のネット利用率は91.7%であり、健常者を大きく上回っているのです。これは言うまでもなく、利用を補助する技術があるからです。

つまり、視覚障害者向けの図書館サービスを実施するにあたっては、対面朗読などのボランティアの育成も必要ではありますが、ICTの導入を進めることが圧倒的なカギであると考えられます。

紙媒体の本をスキャンして、OCR処理をして読み上げソフトにかけることも可能であり、これは視覚障害者の読書の可能性を大きく広げるものだと思います。なお、これは2009年の著作権法改正で公共図書館に認められることとなっています。

だいぶ長くなったので、残りは明日に。